企業やブランドの認知度向上やイメージ維持において、サジェスト対策は欠かせない施策の一つです。
サジェストはGoogleやYahoo!といった検索エンジンだけでなく、Amazonや楽天市場などのECサイト、さらにはYouTubeなどの動画プラットフォームにも存在し、ユーザーの検索行動に大きな影響を与えています。
サジェスト対策には、大きく分けて2つの方法があります。
ひとつは、特定のキーワード入力時に自社名やサービス名をサジェスト候補に表示させる「サジェストPR対策」。もうひとつは、会社名やサービス名の後に続く根拠のないネガティブなキーワードを非表示にする「サジェストの予測変換から非表示にする対策」です。
これらは専門業者に依頼することも可能ですが、削除申請については自分で行うこともできます。
本記事では、サジェストの仕組みや対策のメリット、そして自分でできる削除申請や確認方法、注意点まで、わかりやすく解説します。
サジェスト対策とは?
サジェストは、GoogleやYahoo!などのユーザーが検索窓にキーワードを入力した際に、自動的に表示される予測変換候補のことを指します。
たとえば「カフェ」と入力すると、「カフェ おしゃれ」「カフェ 東京」など、よく検索される関連キーワードが一覧として提示されます。これは過去の検索データやトレンド、ユーザーの検索履歴などをもとに、自動的に生成される仕組みです。
サジェストはユーザーの検索行動や印象に大きな影響を与えるため、ポジティブなキーワードが表示されれば好印象につながります。
一方で、ネガティブなキーワードが表示されると、信用の低下や集客機会の損失につながる恐れがあります。
そこで必要になるのが「サジェスト対策」です。
サジェスト対策とは、検索結果に表示されるサジェスト候補を適切に管理・改善し、ブランドイメージを守ると同時に、認知度や集客力を高める施策のことを指します。具体的には、ポジティブなキーワードを表示させるPR対策や、根拠のないネガティブなキーワードを削除・非表示にする対策などが含まれます。
GoogleとYahoo!のサジェストはどう違う?
Googleサジェストの表示例▼
Yahoo!サジェストの表示例▼
| Googleのサジェスト |
何キロ持てる スロット ダンベル ヒーロー スマスロ フライ ヒーローk プレス カール ダンベル 筋トレ |
|---|
| Yahoo!のサジェスト |
ヒーロー youtube ヒーロー k 筋トレ 何キロ持てる スマスロ 終了画面 ヒーロー youtube そこんとこ プレス 天井 フライ 朝一 |
|---|
GoogleとYahoo!で「ダンベル」を検索したところ、それぞれのサジェスト内容には共通するワードもありますが、異なるワードも多く見受けられました。
このことから、GoogleとYahoo!のサジェストには仕組みの違いがあることがわかります。
Googleのサジェストは「オートコンプリート機能」としても知られています。オートコンプリート機能は、膨大なデータと高度なアルゴリズムを用いて、ユーザーの過去の検索履歴や行動パターン、全体的な検索トレンドを総合的に分析します。その結果、リアルタイムの検索トレンドや最新の話題を反映し、個々のユーザーに合わせたカスタマイズ性の高い候補を提示します。
一方、Yahoo!のサジェストは、ユーザーが過去に検索した複合キーワードの傾向を反映して表示されるとされています。Googleとはアルゴリズムの仕組みが異なり、より「多くのユーザーが知りたいテーマ」に基づく傾向が強いと考えられます。
例えば「ダンベル」の検索結果からは、筋トレ種目や関連動画、特定コンテンツに関する検索が多いことが示唆されます。Yahoo!では、多数のユーザーが知りたいと考えているテーマの傾向を予測し、その結果をサジェストとして表示しています。
Amazonや楽天などのECサイトやYouTubeにもサジェストが存在する
サジェストは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンだけに限らず、Amazonや楽天市場などのECサイトやYouTubeのような動画プラットフォームにも存在します。これらのサービスでは、ユーザーが検索窓にキーワードを入力すると、その内容に関する検索候補が自動的に表示されます。
例えばAmazonで「プロテイン」と入力すると、「プロテイン 人工甘味料不使用」「プロテイン バー」「プロテイン シェイカー」など、購買意欲を喚起する商品関連ワードが表示されます。楽天市場でも同様に、人気商品や関連性の高い検索ワードが候補として提示されます。
一方、YouTubeで「筋トレ」と入力すると、「筋トレ 腹筋」「筋トレ 女子」「筋トレ 初心者」など、視聴者がよく探す動画テーマが表示されます。
Amazonサジェストの表示例▼
楽天サジェストの表示例▼
YouTubeサジェストの表示例▼
サジェスト対策の種類
サジェスト対策には、大きく分けて「サジェストPR対策」と「ネガティブワード削除対策」の2つがあります。
それぞれ目的や効果が異なり、状況に合わせた使い分けが必要です。
サジェストPR対策
サジェストPR対策は、会社名・サービス名・ブランド名などを検索サジェストに積極的に表示させる対策です。
特定のキーワード入力時に、自社に関連するポジティブなキーワードが上位表示されるようにすることで、企業の認知度を高め、好印象を与えることができます。
例えば、新商品の名前やキャンペーンをサジェストに表示させれば、潜在顧客の関心を引きやすくなり、結果としてサイト訪問や購入につながる可能性が高まります。
ネガティブワード削除対策
ネガティブワード削除対策は、事実無根や不適切なキーワードがサジェストに表示されないようにする対策です。
この対策をすることで誤解や不本意な印象を与えるネガティブな情報からブランドを守ることができます。 例えば、競合や第三者による根拠のない批判、悪意ある書き込みにより発生した「〇〇 詐欺」「〇〇 失敗」などのサジェストを削除することで、信頼性を維持し、顧客離れを防ぎます。
サジェスト対策のメリット
サジェストは、ユーザーが検索窓にキーワードを入力した瞬間に目に入るため、企業やブランドの印象を左右しやすいといえます。
ポジティブなキーワードが表示されれば信頼感や興味を持たれやすくなりますが、ネガティブなキーワードが表示されると、不信感や誤解を招き、集客や売上に悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、ポジティブなキーワードを表示させる「サジェストPR対策」と、ネガティブなキーワードを非表示にする「削除対策」それぞれのメリットについて解説します。
サジェストPR対策のメリット
- ブランドやサービスの露出が増え、認知度向上につながる
- ポジティブな印象を与える関連ワードを表示でき、企業イメージが向上する
- キャンペーンや新商品の名称を表示させ、話題性を高められる
- 検索結果からのクリック率が上がり、サイト流入が増加する
サジェストPR対策を行うことで、ユーザーが検索を始めた段階から自社やサービスの存在を印象づけることができます。特にポジティブなワードと組み合わせて表示させることで、ブランド力の強化や集客に直結する効果が期待できます。
ネガティブなキーワードをサジェストから削除する対策のメリット
- 根拠のない誹謗中傷や不適切なワードの表示を防げる
- ブランドやサービスの信頼性を維持できる
- ユーザーに誤解や不安を与えるリスクを軽減できる
- 集客機会の損失や顧客離れを防止できる
- 炎上や風評被害の長期化を防ぎ、早期収束につなげられる
ネガティブなキーワードがサジェストに表示されると、企業やサービスの印象は一瞬で悪化し、ユーザーが利用をためらう可能性があります。削除対策を行うことで、こうした悪影響を未然に防ぎ、安定したブランドイメージと顧客との信頼関係を守ることができます。
サジェスト対策は自分でできる?
サジェスト対策の中でも、PR対策は自分で行うには難易度が高いのが現実です。
サジェストは、多くのユーザーが実際に検索した行動データをもとに、人気のある関連キーワードを自動で検出し、上位に表示します。理論上は、特定のキーワードの検索回数を増やしたり、SNSで大量に投稿して話題性を作ることで、サジェストに反映させることも可能です。
しかし、実際には自分のパソコンやスマートフォンで繰り返し検索しても、それはあくまで個人の行動にすぎず、検索エンジンが求める「多数のユーザーによる需要」を示すことはできません。
そのため、個人だけでサジェストを意図的にコントロールするのは非常に難しく、PR対策を自力で成功させるには限界があります。
一方で、ネガティブなキーワードの削除申請は、自分一人でも行うことが可能です。
GoogleやYahoo!は、不適切なコンテンツやプライバシー侵害などに該当する場合、申請を受け付ける公式フォームを用意しています。適切な根拠や説明を添えて申請すれば削除が認められる可能性はありますが、承認される条件は非常に厳しく、実際の成功率は高くありません。
自分で申請しても解決できない場合には、専門家に相談することも視野に入れておくことが大切です。
自分できるサジェストの確認・チェック方法
サジェスト対策を行う前に、まずは現在どのようなサジェスト(検索候補)が表示されているのかを確認することが重要です。
実際に表示されているサジェストを把握することで、ポジティブなキーワードを強化すべきか、ネガティブなキーワードへの対応が必要かといった方向性を明確にできます。
ここでは、自分で行うことができるサジェストの確認方法を紹介します。
ブラウザのシークレットモードで検索してみる
ブラウザのシークレットモードを使って検索すると、検索履歴やクッキーの影響を受けずに、より一般的なサジェストを確認できます。
通常、検索エンジンはユーザーの過去の検索履歴や閲覧行動をもとにサジェストをカスタマイズします。しかし、シークレットモードではこうした個人的なデータが一時的に無視され、より客観的で多くのユーザーに共通するサジェストが表示されます。
純粋な検索結果を把握することで、実際にユーザーがどのようなサジェストを目にしているのかを正確に確認でき、対策の精度が高まります。
Google Chromeブラウザのシークレットモードのやり方(PC)▼
Windows、Linux、またはChrome OSを使用している場合、Ctrl+Shift+Nキーを同時に押すと、新しいシークレットウィンドウが開きます。
シークレットモードでの検索は、ほとんどの主要ブラウザで利用できます。ブラウザの設定メニューから「新しいシークレットウィンドウ」または「新しいプライベートウィンドウ」を選択すれば、簡単にシークレットモードを開始できます。
参照元:Google Chromeヘルプ
サジェスト対策に使える便利ツール紹介
サジェストキーワードは手動でも確認できますが、検索方法によってはユーザーの過去の検索履歴や興味関心が反映されてしまい、正確なサジェストを取得できない場合があります。さらに、複数のプラットフォームで確認するとなると、時間も手間もかかります。
そこで役立つのが、サジェストキーワードを自動で抽出できるツールです。
便利ツールを使えば、短時間でキーワードを収集でき、正確なデータをもとに対策を進められます。
ここでは、おすすめのサジェスト対策に使えるツールを4つ紹介します。
ラッコキーワード
「ラッコキーワード」は、無料で利用できるキーワードリサーチツールで、Google・Bing・YouTube・Amazonなど各プラットフォームのサジェストキーワードを一括取得できます。
特にGoogleサジェストの取得に強く、大量のキーワードを一度に収集できる点が特徴です。
会員登録なしでも利用可能ですが、その場合は使用制限があります。会員登録(有料)を行うと、この制限が解除され、より自由に利用できます。
Keyword Tool
「Keyword Tool」は、GoogleやYouTube、Bing、Amazon、Instagramなど、さまざまなプラットフォームのサジェストキーワードを一括で取得できるキーワードリサーチツールです。
無料版でも一定数のサジェストキーワードを確認でき、有料版では検索ボリュームや競合状況などの詳細データも取得可能です。サジェスト対策では、複数の媒体でどのような関連キーワードが表示されているのかを横断的に調べられる点が大きなメリットです。
特に、海外を含む多言語のサジェストにも対応しているため、日本国内だけでなくグローバルな市場でのブランド保護も行うことができます。
Ubersuggest
「Ubersuggest」は、Neil Patel氏が提供するSEO・キーワードリサーチツールで、Googleのサジェストキーワードを効率的に収集できるほか、検索ボリュームやSEO難易度、関連コンテンツの分析まで行えるのが特徴です。
無料版でも1日に数回まで検索可能で、有料版ではより多くのキーワードや詳細データを取得できます。サジェスト対策においては、現状のサジェストキーワードの把握だけでなく、そのキーワードの検索需要や競合状況を同時に確認できる点が大きなメリットです。
Googleアラート
「Googleアラート」は、指定したキーワードに関する新しい情報がWeb上に公開された際に、通知してくれるGoogle公式の無料サービスです。
サジェスト対策では、自社名・サービス名・ブランド名などをGoogleアラートに登録しておくことで、ネガティブな情報や評判記事が早期に把握できるというメリットがあります。
サジェストに影響を与える可能性のある記事や投稿を素早く発見し、必要に応じて削除申請を行うことが可能になります。
設定は簡単で、通知頻度や対象とするメディア(ニュースサイト、ブログ、Web全般など)も選択できるため、ブランド監視ツールとしても活用できます。
Googleのサジェストを自分一人で削除申請する方法
Googleのサジェストに、事実無根のネガティブワードや不適切な表現が表示されると、企業や個人のイメージに大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、こうしたサジェストの一部は、自分一人でGoogleに削除申請を行うことが可能です。
Googleではガイドラインに違反する内容に該当する場合、公式フォームから申請を受け付けています。
ここでは、誰でも行うことができるGoogleサジェストの削除申請方法を解説します。
Google検索の入力欄に、問題となっているキーワード(例:「会社名」「サービス名」など)を入力します。
サジェスト一覧の右下に表示される「不適切な検索候補の報告」をクリックします。
報告するキーワードを選択する。
理由(関連性の低いコンテンツ、危険または有害なコンテンツなど)を選ぶ
理由を選択したら、送信ボタンを押して申請を完了します。その後、Googleによる審査が行われ、結果は通常数日から数週間以内に通知されます。
Yahoo!のサジェストを自分で削除申請する方法
Yahoo!のサジェスト削除は、公式フォームから申請できます。
専用の「報告フォーム」にアクセスします。
フォームには、サジェストが表示される検索結果のURLや削除したい関連検索ワード、削除を希望する理由を記載し、該当する項目を選択します。
入力内容を確認して送信すると申請が完了し、審査に通ればサジェストから削除されます。
ただし、GoogleやYahoo!でも、すべての申請が承認されるわけではありません。主観的な理由だけでは、削除が認められない場合も多くあります。
自分でサジェスト対策をする際の注意点
サジェスト対策は、自分でも削除申請や現状のチェックなど一定の対応が可能です。しかし、やり方や効果の出方には限界や注意点があります。
ここでは、自分でサジェスト対策を行う際に押さえておきたい注意点を解説します。
すべてのサジェストが削除できるわけではない
削除申請を行ったからといって、必ずしも承認されるわけではありません。
GoogleやYahoo!では、サジェスト削除の判断基準が厳格に定められており、名誉毀損・プライバシー侵害・差別的表現など、明確にガイドラインに違反するケースでなければ削除が認められない場合がほとんどです。
また、「不快に感じる」「イメージが悪くなる」といった主観的な理由だけでは、申請が却下される可能性が高くなります。さらに、削除対象外とされたキーワードは、再申請しても認められないケースが多いです。ただし、ガイドラインの改定や新たな事実が判明した場合には、結果が変わる可能性もあります。
そのため、自分で申請を試みても削除が認められなかった場合は、早めにサジェスト対策の専門業者や弁護士に相談することが重要です。
サジェストは変動するため、定期的なチェックが必要
サジェストは、検索エンジンのアルゴリズムやユーザーの検索傾向、季節的なトレンド、ニュースやSNSでの話題など、さまざまな要因によって日々変動します。
そのため、過去にネガティブなキーワードが表示されなくなっていても、状況次第では再び表示される可能性があります。逆に、ポジティブなキーワードを表示させても、表示順位が下がることもあります。
こうした変動に対応するには、月に数回定期的にチェックすることが有効です。
特に、ネガティブなキーワードが再び表示されてしまうケースもあるため、早期に発見し迅速に対応できる体制を整えておくことが、ブランドイメージや信頼性の維持につながります。
自力で解決できない場合は、弁護士や業者に相談を
自分でサジェスト削除の申請を行っても承認されない場合や、ネガティブなキーワードが繰り返し表示される場合は、弁護士や専門業者に相談することを検討しましょう。
法律の専門知識や実務経験を持つ弁護士であれば、法的根拠を明確にしたうえで申請でき、特に風評被害案件に強い弁護士であれば、適切な手続きを通じて削除の可能性を高められます。
一方、専門業者は削除申請だけでなく、ポジティブなキーワードを表示させるPR対策にも対応できる場合が多く、より幅広い解決策を提供してくれます。どちらに依頼する場合も、実績や専門性をしっかり確認したうえで選定することが大切です。
まとめ
サジェストは、検索エンジンやECサイト、動画プラットフォームなどでユーザーが入力するキーワードに応じて関連候補を自動表示する仕組みで、企業やブランドの認知度や印象に大きく影響します。 サジェスト対策には、ポジティブな関連ワードを表示させる「サジェストPR対策」と、事実無根のネガティブワードを削除・非表示にする「削除対策」の2種類があり、それぞれ目的や効果が異なります。
ポジティブなキーワードを自力で表示させるのは難しい一方、ネガティブなキーワードの削除申請はGoogleやYahoo!の公式フォームから自分で行うことも可能です。ただし、削除が認められる条件は厳しく、明確なガイドライン違反に該当する場合に限られます。
サジェストは日々変動するため、シークレットモードや専用ツールを活用して定期的に確認し、早期対応が重要です。
申請しても削除されない場合や、繰り返しネガティブワードが表示される場合は、弁護士や専門業者への相談も有効です。適切な対策により、ブランドイメージを守り、認知度向上と集客機会の最大化を図ることができます。

