現代の採用市場は少子高齢化と労働人口の減少に直面し、企業は即戦力となる優秀な人材を採用するための激しい競争に迫られています。このような状況の中、企業が求職者から選ばれるためには採用ブランディングが不可欠です。
インターネットやSNSの普及により、企業のイメージや働き方がより透明になり、情報に基づいて選択を行う求職者が増えています。そのため、採用ブランディングは企業のブランド価値全体を高め、適切な人材とのマッチングを促す重要な手段となっています。
本記事では実際に採用ブランディングを成功させた企業の事例を紹介します。
どのようにして企業が独自の魅力を最大限に活かし、優秀な人材を引き寄せたのか、ぜひご覧ください。
採用ブランディングとは

採用ブランディングとは、企業が自社の魅力や価値を伝え、経営戦略に沿った適切な人材を採用するための戦略的な取り組みです。採用ブランディングの目的は、ただ応募者数を増やすだけでなく、企業の文化と価値観に合った人材を獲得し、長期的に貢献できる人材の定着を促すことです。
現代の労働市場では、「売り手市場」と呼ばれる状況にあり、多くの企業が人手不足に悩まされています。採用ブランディングを通じて企業は自社の魅力を強調し、ターゲットにしている人材層に直接アピールできます。
採用ブランディングのメリット▼
- 企業のビジョンや価値観と一致する人材を採用できる
- 採用コストを抑えられる
- 既存社員のエンゲージメントが向上し、社員のモチベーションが上がる
採用ブランディングの目的▼
- 経営戦略に沿った適切な人材を惹きつける
- ミスマッチによる早期退職を防ぐ
- 企業の長期的に貢献する人材を採用する
採用ブランディングについて、より詳しく知りたい方は、下記の記事がおすすめです!
企業の採用ブランディングの成功事例12選
売り手市場の現代では、企業が求職者から選ばれるためには、他社とは異なる魅力を持ち、求職者にしっかりと伝える必要があります。
ここでは、各企業がどのように独自の採用ブランディングを実施し、どのような成果を上げたのかを、12の事例とともに紹介します。
株式会社メルカリの成功事

メルカリの採用ブランディングの成功事例は、組織全体が一体となって実施している取り組みが根底にあります。採用ブランディングの中心には、同社のオウンドメディアである「mercan」が位置づけられており、単なる求人情報に留まらず、メルカリの文化、価値観、そして働く人々のリアルな声を紹介するプラットフォームとして機能しています。
「mercan」では、日常的なブログ更新の他に、動画やイベントの実況など、多様なコンテンツを通じてメルカリのブランドイメージを形成しています。
単なる情報発信にとどまらず、企業としての独自性や魅力を紹介し、市場に対して効果的に訴求する手段となっています。また、メディアの影響についても定期的に分析し、継続的な改善を行っています。
さらに、メルカリではHR部門だけでなく、すべての従業員が採用プロセスに関与しています。そのため、求職者に対して一貫したメルカリの文化と価値を伝えることが可能です。
採用ブランディングの成功要因
- 組織の全員が採用プロセスに関与
- 実際の従業員の声や日々の業務をリアルタイムで紹介
- メディアの影響を定性的および定量的に分析し、継続的な改善を行っている
三幸製菓株式会社の成功事例

三幸製菓株式会社は、新潟を拠点とするお菓子メーカーです。大手企業との認知度の格差や予算の制約に直面しながらも、独自の採用ブランディングに取り組みました。その結果、これまでにないほどの成果を生み出すことに成功しています。
最初のステップとして、同社はブランド調査を実施し、自社と競合他社の認知度の差を明確にしました。この調査の結果から、自社の立ち位置を把握し、どのように市場にアプローチしていくべきかの方針を立てました。特に、三幸製菓は「売上成長力の高さ」というポイントに注力し、この点を採用ブランディングの中心に据えることを決めたのです。
ブランディング戦略においては、従来の就職サイトの使用をやめ、Facebookを主要なプラットフォームとして活用する大胆な方法に転換。採用プロセスにおいても、伝統的な面接やエントリーシートに頼ることなく、「カフェテリア採用」や「日本一短いES」というユニークな評価基準を紹介し、応募者とのマッチング精度を向上させました。
これらのブランディング戦略の結果、三幸製菓のエントリー数はわずか3年間で300名から13,000名へと飛躍的に増加したのです。
成功要因▼
- 自社と競合との差を正確に理解し課題を明確に把握
- 全ての採用媒体に一貫したデザインとメッセージを使用しブランドイメージを構築
- 「売上成長力の高さ」という独自の強みを採用ブランディングに活用
株式会社SmartHRの成功事例

株式会社SmartHRは、効果的な採用ブランディングと広報戦略により、企業の知名度と魅力を高めることに成功しています。この取り組みは、特に採用広報とマーケティングの面で顕著です。会社の立ち上げ当初から、情報の透明性を重視し、すべてをオープンに紹介していくことで採用力を高めるという方針を決めました。
まず、SmartHRはデジタルメディアを積極的に活用しており、企業ウェブサイトやブログ、SNSなど様々なプラットフォームで情報を発信しています。会社のカルチャーや職場環境、実際に働く社員の声を直接的かつリアルタイムで紹介できるため、候補者が企業を深く知る手助けとなります。
また、SmartHRはイベントを定期的に開催することで、候補者との直接的な接触の場を作っています。例えば、「公開雑談」イベントは、企業のフォーマルでない側面を見せることができ、参加者にリラックスした環境で質問やディスカッションを行う機会を提供しています。
このような取り組みを通じて、SmartHRは採用活動における母集団形成を大幅に改善しました。さらに、採用プロセス全体を通じて候補者との関係を築く施策を実施した結果、内定受諾率が顕著に改善されました。
成功要因▼
- 情報の透明性を重視しすべてをオープンに発信
- 複数のメディアを駆使して情報を発信し広範なターゲット層にリーチ
- 面接後も積極的にフォローアップなどを行い内定率を高める施策も実施
株式会社ADKホールディングスの成功事例

株式会社ADKホールディングスは、新卒採用と中途採用を区別し、それぞれに最適化された採用ブランディングに取り組んでいます。国内有数の広告代理店業を展開する同社では、特に企業ファンの獲得を軸に採用活動を行っており、求職者に選ばれることを重視しています。
新卒採用においては、学生の関心に応じたカスタマイズされたコミュニケーションを行い、検討フェーズで学生の相談に答える機会を多く設けることでエンゲージメントを高めています。また、Instagramを利用して早期選考の流れや内定式の様子を含む、リアルな会社のイメージを伝える「早期選考体験記」などのコンテンツを発信しています。
中途採用では、現場のマネージャークラスによるスカウト活動を行い、上位層の方が企業の魅力を伝える戦略を取っています。
さらに、ADKホールディングスはオウンドメディアとSNSを駆使した情報発信にも力を入れています。
企業が持つ採用ページは、「ポテンシャル採用」と「キャリア採用」とわけており、それぞれのターゲットに合わせた訴求をして、採用活動が行われています。新卒向けには「#全員チャレンジャー」というメッセージを掲げ、学生に挑戦を促しています。一方で、キャリア採用ページでは「ようこそ、才能の合衆国へ。」というメッセージで、経験者を迎え入れる姿勢を示しています。
- 新卒採用と中途採用でそれぞれ最適化された採用ブランディングを実施
- SNSを活用した情報発信
- ポテンシャル採用とキャリア採用で異なる採用ページを設け、それぞれのターゲットに合わせた訴求を行う
サイボウズ株式会社の成功事例

サイボウズ株式会社は、ビジネスWebサービス・ツールの開発・保守を主業としている企業で、特に「サイボウズ Office」、「Kintone」、「Garoon」、「メールワイズ」という4つのグループウェア製品で知られています。
この企業は採用ブランディングにおいて、共感を呼び起こすコミュニケーション戦略を実施しています。
サイボウズの採用ブランディング戦略の中核には、働くママを応援するムービーの制作があります。このムービーはテレビやインターネットで広く公開され、YouTubeで広告なしの動画として162万回以上の再生回数を記録するなど、社会的な注目を集めました。企業の認知度向上だけでなく、企業イメージの向上にも大いに貢献したのです。
サイボウズの人事戦略は、従来の働き方にとらわれない自由度の高さをアピールすることで知られています。未経験者でも専門職にチャレンジ可能な「ポテンシャル制度」、副業の解禁、複業の解禁(他社との二重在籍を容認)、リモートワークの推進など、多様な働き方を支援する施策を実施しています。
採用ブランディングに取り組んだ結果、かつて28%あった離職率が4%まで低下しました。
成功要因
- 働くママを応援するムービーなど感情を動かすコンテンツの制作
- 認知と働きやすい企業イメージの構築に成功
- 自由度の高さをアピールした採用戦略を展開
株式会社サイバーエージェントの成功事例

サイバーエージェントは、インターネット広告やメディア、ゲーム事業などを手がける企業で企業で、特に若手人材の採用に力を入れています。
新卒採用市場での競争が激化する中、データドリブンなアプローチと戦略的なブランディングを駆使した採用活動で成功を収めています。
リサーチサービスを利用し、学生の本音や実態を掘り下げることから始めました。このリサーチでは、学生からの直接的な意見や、競合他社との比較データを収集し、これをもとに戦略を練り上げています。具体的には、学生が他社をどのように見ているかの洞察を得るために、さまざまな業界の企業をベンチマークとして設定しました。
さらに、自社のポジショニングを把握し、ターゲット学生に最適なメッセージを届けられるようになったことで、より効果的な採用活動につなげています。
2022年度の新卒採用では、「多様性」と「事業規模の大きさ」を前面に押し出した新たなブランディングを展開。サイバーエージェントへのエントリー数は前年比で約2倍に増加しました。学生にとって魅力的な「将来性がある業界」であることを伝えるイベントも積極的に行い、企業の規模感や将来性を訴えました。
リサーチ結果は、採用プロセスの各段階、特に広報、選考体験、クロージングにおいて活用されました。また、リサーチを定期的に実施し、市場の変化に合わせて採用戦略を逐次更新しています。
成功要因
- リサーチ会社と連携し学生の本音と実態を詳細に分析
- リサーチ結果を踏まえ、採用ブランディングの方向性を変更
- 得られたリサーチデータを元に企業説明会や選考フローなどの採用戦略を再設計
トゥモローゲート株式会社の成功事例

トゥモローゲートは企業のブランディングを支援する会社です。
トゥモローゲートが新卒採用を本格的に始めたのは2014年のこと。創業間もなく、社員数もわずか3名だったため、企業としての知名度や信頼の構築が緊急の課題でした。特に、競争が激しい新卒採用市場において、自社の存在感をいかにして示すかが重要なポイントとなりました。
「ようこそ、ブラックな企業へ。」というインパクトの強いコピーを掲げることで、従来の採用市場の常識に挑戦。企業のリアルな一面をあえて逆説的に伝えることで、話題を呼び、若手層の注目を集めました。
企業のビジョン、ミッション、バリューを明確に言語化し、公開することで求職者が自社とのフィット感を事前に評価できるよう努めました。また、中期ビジョンとそれを実現するための具体的な要件も開示し、候補者が将来のキャリアパスを視覚化しやすくしました。
その結果、約7,000名の応募を獲得し、多くの候補者がエントリー時点で企業の理念やビジョンに共感していたことが確認されました。
成功要因▼
- 強烈なキャッチコピーで採用ブランディングを実施
- 企業のビジョン、ミッション、バリューを明確に言語化
- 中期ビジョンとそれを実現するための具体的な要件も開示
ユニファ株式会社の成功事例

ユニファ株式会社は、「”家族×テクノロジー”で世界中の家族コミュニケーションを豊かにする」というミッションを掲げて、保育施設向けのIoT・ICTサービスを提供しています。創業から続く現場主義と社会貢献意欲の高さが特徴の企業で、これらの理念に共感するメンバーを採用するために、ブランディング戦略を展開しています。
ユニファは2017年の「Startup World Cup」優勝をきっかけに、積極的な採用活動を開始しました。当初は20名ほどの小規模な組織で、外部からの認知度が低く、企業の魅力を伝えるための情報発信が不十分であるという課題に直面していました。特に、企業の文化やミッションに共感する人材を惹きつけるために、採用ブランディングが必要だと判断しました。
そこで、ユニファは採用プラットフォームでストーリーテリングを重視した採用活動を行っています。同社のメンバーが社内文化やミッションへの共感を記事を通じてシェアすることで、同社を理解し、魅力を感じる人材が集まり始めました。このアプローチにより、社内の情報も外部にオープンにされ、応募者にとって同社での働き方や社風を具体的にイメージしやすくなりました。
この採用ブランディングにより、ユニファのチームはわずか数年で20名から220名へと急成長したのです。
- ストーリー性のあるコンテンツを積極的に発信
- 社内向けのメンバー紹介や活動報告を充実させるなどインナーブランディングの強化
株式会社ワンコイングリッシュの成功事例

ワンコイングリッシュは、誰もが手軽に英会話を学べる環境を提供することを目標として、「日本人のグローバル化を促進する」という企業理念のもとに事業を展開しています。
ワンコイングリッシュは、事業の急速な拡大に伴い、採用戦略においても新たな課題に直面しました。従来の即効性を求めた採用から脱却し、企業理念に共感し、長期的に貢献できる人材を獲得する必要性が高まっていました。そのため、採用活動における「良い出会い」を構築できる手法として、採用ブランディングの重要性がクローズアップされたのです。
ワンコイングリッシュは、採用ツールで企業の理念や文化を生き生きと伝えるストーリーや募集ページを積極的に活用し、候補者に対して同社の情熱やビジョンを共有しています。特に、採用ページに「アットホーム」「グローバル」「風通しの良さ」を伝える写真を使用し、候補者に「ここで働いてみたい!」と感じてもらうような印象を与える工夫をしています。
採用ブランディングに力を入れた結果、広報担当者1名に加えて、複数の人材を採用することに成功しています。さらに、即時採用にこだわらず、理念に共感する人材との長期的な関係構築を目指すことで、企業理念にマッチした人材を採用することが出来るようになったのです。
成功要因
- 企業のストーリーや日常を積極的に発信
- 即時採用にこだわらず、理念に共感する人材との長期的な関係構築を目指すことを重視
エイベックス株式会社の成功事例

エイベックスは、音楽や映像を中心に事業を行う日本のエンターテインメント業界のトップ企業として知られています。しかしながら、その華やかなイメージが先行し、実際の職場の厳しさが求職者に伝わらないことから、入社後のギャップによる早期離職が問題となっていました。
エイベックスは、社内で実際に働く人々の日常や挑戦をリアルに描いた社員インタビューや動画を作成し、SNSや企業ウェブサイトで公開するなど、採用活動の一環として現場のリアルを伝える情報発信を強化しました。また、採用コンセプトとして「モテる人・うごく人・つよい人」を掲げ、求職者に対して業界で成功するために必要な資質を明確にしました。「つよい人」という表現を通じて、単なる華やかさだけではなく、日々の努力や根性が求められる現実も強調。
さらに、新入社員が入社前に業務のリアリティを体験できるプログラムを実施しました。これは、入社後のミスマッチを防ぎ、実際の仕事に対する意識を高めるために設計されたものです。
エイベックスの採用メッセージとリアリティある情報提供により、企業と求職者の間のミスマッチが大幅に減少しました。入社後のギャップが少なくなったことで、社員の定着率が向上。さらに、企業の本質的な価値と業務内容に共感する求職者が増加し、企業文化にマッチした人材が集まるdようになりました。
ソフトバンクグループ株式会社の成功事例

ソフトバンク株式会社は、急速に変化するテクノロジー業界においてデジタル人材を効果的に採用するために独自の採用ブランディング戦略を実施しています。
デジタル人材の採用においては、単に職務の説明をするだけでなく、企業文化、キャリアパス、そして技術的挑戦の機会を前面に押し出すことで、候補者にとって魅力的な職場であることを強調しました。
さらに、採用プロセスにおいて、ソフトバンクは経営層を積極的に巻き込んでいます。求職者にとって意思決定がスピーディーに行われ、採用プロセスも迅速に進むので魅力的です。
ソフトバンクは、自社のオウンドメディアを通じて、採用に関する情報だけでなく、技術的な成果やプロジェクト、社員インタビューなどを定期的に公開しています。また、採用イベントを頻繁に開催し、直接対話を通じて企業の多様な側面を紹介する機会を設けています。採用イベントでは、部門のキーマンが直接プレゼンを行い、参加者からの質問に答えることで、企業への理解を深めてもらうことを目指しています。
採用ブランディングを通じてソフトバンクは、デジタル人材の獲得だけでなく、企業文化に適合する優秀な人材を確保することに成功しました。
成功要因
- 採用プロセスに経営層を積極的に巻き込む
- 戦略的なオウンドメディアの活用
日本マクドナルドの成功事例

日本マクドナルド株式会社は、採用ブランディングにおいてEVP(Employee Value Proposition)の明確化と発信に注力しており、業界内外からその先進的な施策が高く評価されています。
日本マクドナルドは約2,500人の社員と19万人を超えるアルバイトスタッフを擁しており、特にアルバイトの離職率の高さという課題に直面していました。企業として「従業員が長く安心して働ける環境を提供すること」が求められる中、単に職場の待遇や条件を向上させるだけではなく、EVPを軸にした採用ブランディングの強化が進められました。
日本マクドナルドは「給与・賞与・休暇・キャリア・福利厚生」といった基本的な待遇だけでなく、「ブランド・カルチャー・人・リーダーシップ・得られるスキル」など、従業員が得られる具体的な価値を明確に言語化し、積極的に発信も行ったのです。
また、「ハンバーガー大学」を設立し、従業員がリーダーシップ、チームビルディング、マネジメントスキルを学べる独自の研修制度を導入。この大学では、実践的なトレーニングを通じて、従業員自身が自己成長を実感できるカリキュラムが提供されました。
さらに、全従業員が企業理念と価値観を深く理解し共有するためのワークショップと会議が定期的に開催され、企業文化の浸透が進められました。
採用ブランディングの取り組みにより、日本マクドナルドはアルバイトの離職率を大幅に削減し、正社員に対してもキャリア成長の機会を提供することができました。従業員満足度の向上は、顧客サービスの質の向上にも繋がり、企業全体のパフォーマンス向上に繋がったでしょう。
成功要因
- EVPの言語化
- 従業員自身が自己成長を実感できる「ハンバーガー大学」を設立
- 企業理念の浸透に力を入れる
採用ブランディングに成功した企業の共通点

採用ブランディングに成功した企業の取り組みには、いくつかの共通点が存在しています。
- 企業の実情をオープンに発信
- 企業全体で取り組んでいる
- 採用コンセプトに沿った一貫性のあるメッセージを発信
採用ブランディングに成功している企業は、自社の文化、業務内容、働く環境などを社員インタビューやSNS、動画などで公開することで、応募者に対して信頼感を構築しています。企業のリアルな一面を見せることで、応募者が入社後に感じるギャップを最小限に抑え、離職率の低下にも繋がります。
採用ブランディングは人事部門だけではなく、経営層を含む全社員の取り組みが不可欠です。成功している企業では、社員一人ひとりが採用ブランディングに積極的に取り組み、その結果として一貫したメッセージが社外に向けて発信できています。
採用コンセプトに基づいて一貫したメッセージを発信することで、企業のブランド価値を高め、適切な人材を引き寄せることができます。
採用ブランディングの失敗事例

採用ブランディングには成功事例だけでなく、失敗事例も存在します。
以下で採用ブランディングにおける代表的な失敗事例を紹介します。
- 過度な期待を抱かせて入社後に大きなギャップがある
- 社内の実態に乖離がある状態で発信活動を行う
- 上層部と人事主導で進め、他の社員の声を聞かずに進行
実際の業務以上に内容を美化して強調すれば、求職者からの応募が増えるかもしれません。
しかし、入社後に実際の業務との乖離が大きすぎると、早期離職が増加し、自社で長期的に活躍する人材を採用するという本来の目的が損なわれてしまいます。
さらに、入社後に大きなギャップを感じて退職した社員による悪い口コミが広がることで、企業の評判が下がり、将来の採用活動にも悪影響を及ぼす可能性があります。
採用ブランディングが上層部と人事部のみで進められると、他部署の社員や現場の意見がほとんど考慮されず、結果として採用活動がうまくいかずに失敗するケースが少なくありません。
一部の管理職の理想には合致していても、実際に業務を行う社員のニーズや企業文化とは乖離し、内部からの不満が高まる要因となります。
一方、採用ブランディングで成功している企業は、全社的な取り組みとして位置づけており、その過程で職場環境の改善にもつなげています。
一方向的な発信ではなく、多方面からの意見を取り入れる姿勢が重要です。
採用ブランディングにおいて風評被害が発生した場合は専門業者へ依頼しよう

採用ブランディングにおいて風評被害が発生した場合、早急な対応が不可欠です。
例えば、Googleサジェスト(検索バーに入力を始めたときに表示される予測キーワード)などに「〇〇企業 ブラック」といったワードが表示されると、企業のイメージが大きく損なわれ、求職者に悪い印象を与える可能性があります。
根拠のない風評が浮上した場合、風評対策を専門に行う業者や弁護士に相談することが推奨されます。
専門業者や弁護士は不適切または事実無根のワードが検索候補に表示された際に削除、または出現しないように対策をすることで、採用活動に与える悪影響を最小限に抑えることができます。
採用ブランディングにおいて風評被害は避けたいため、こうした対策も忘れてはなりません。
まとめ
少子高齢化や労働力人口の減少が進む中で、優秀な人材を引き付け、組織の成長に貢献できる人材を獲得するためには、企業が積極的に自社の魅力をアピールする必要があります。そのため、採用ブランディングは、現代の企業が直面する激しい人材確保の競争を勝ち抜くための重要な戦略です。
本記事では、メルカリや三幸製菓、SmartHRなど、多様な業界にわたる12社の成功した採用ブランディング事例を紹介しています。これらの企業はそれぞれ独自のアプローチを用いており、社内の文化や特性を生かし、魅力的な方法で人材を惹きつけています。
採用ブランディングは単なる採用活動にとどまらず、企業文化の浸透や組織の一体感を深めるプロセスでもあります。成功するためには、全社員が一丸となって取り組むことが重要です。