誹謗中傷・口コミ

Googleマップの口コミが営業妨害に該当するケースと削除の流れを解説

<この記事を監修した弁護士>

モノリス法律事務所 代表弁護士
河瀬 季(かわせ とき)

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「Googleマップに根拠のない口コミが書かれて、営業に影響が出ている……」

「事実と異なる評価をされてしまったけど、どう対処すればいいのか分からない」

そんな悩みを抱えるお店のオーナーや企業担当者の方は、少なくありません。

Googleマップの口コミは、来店や購入を検討するユーザーにとって重要な評価の指標となるため、非常に大きな影響力を持っています。
しかし一方で、虚偽の情報や悪意ある誹謗中傷が放置されたままだと、企業の信用を損ない、営業妨害に発展する可能性もあります。
中には、法律に違反している、またはGoogleのポリシーに反している投稿も見受けられます。

本記事では、どのような口コミが営業妨害に該当するのかを解説し、Googleマップの口コミが削除できる基準や対策方法についてもご紹介します。

口コミによる風評被害でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

どんな口コミが営業妨害とみなされる可能性があるのか?

営業妨害とは、虚偽の情報や悪意のある行為によって、企業や店舗の営業活動に支障を与えることを指します。
たとえば、根拠のない風評を広めたり、事実に反する情報で信用を傷つけたりする行為が該当します。

Googleマップに投稿された口コミのすべてが、営業妨害になるわけではありません。
しかし中には、虚偽の情報や誹謗中傷、根拠のない主張が含まれており、実際に顧客離れや売上減少などの被害につながるケースもあります。

この章では、どのような口コミが営業妨害と判断される可能性があるのかについて、代表的なパターンを解説します。

法律に違反する可能性がある口コミ

Googleマップに投稿された口コミの中には、個人の意見や感想の域を超え、特定の企業の評価を不当におとしめるような、法的に問題となるものが含まれていることがあります。
法律上、「営業妨害」という名称の罪は存在しませんが、投稿内容によっては、刑法上の「名誉毀損罪(刑法230条)」「侮辱罪(刑法231条)」「偽計業務妨害罪(刑法233条)」「威力業務妨害罪(刑法234条)」などにあたる可能性があります。

たとえば、以下のような口コミは、法律に抵触するおそれがあります。

  • この店は不衛生で、食中毒が出たらしい(※実際には来店していない投稿者による書き込み)
    → 公然と事実を摘示して、相手の社会的評価を低下させるような投稿をすることは、たとえ真実であっても、名誉毀損罪にあたる可能性があります。
  • 〇〇という店員がバカすぎて話にならない
    →事実を摘示しなくても公然と相手を侮辱するような投稿をすることは、侮辱罪にあたる可能性があります。
  • 料理に異物が混入していた
     → 虚偽の情報により業務を妨害する行為は、偽計業務妨害罪にあたる可能性があります。
  • 店を燃やしてやる
    → 威圧的・脅迫的な口コミで業務を妨害する行為は、威力業務妨害罪にあたる可能性があります。

このように、投稿内容によっては複数の法律に違反する可能性があり、投稿者が刑事責任を問われるケースもあります。
口コミは表現の自由の範囲であっても、影響力が大きく、悪質な場合には営業妨害として法的措置の対象になることも十分に考えられます。

Googleのポリシー違反にあたる口コミ

Googleマップに投稿された口コミの中には、Googleのコンテンツポリシーに反しているものも存在します。
こうした口コミは、企業の評価を不当におとしめ、営業妨害につながるおそれがあるため、Googleによって削除の対象となる可能性があります。

特に以下のような口コミは、Googleのポリシーで禁止されているだけでなく、刑法上の犯罪に該当するおそれもあり、法的責任を問われることもあります。

Googleのポリシーに反する口コミ▼

  • 虚偽のエンゲージメント
    →実際に店舗を利用していないのに悪い評価を投稿する、事実と異なる体験談を記載するなどの行為
  • 誤った情報/不実表示
    →「この店は保健所に通報されたらしい」など、虚偽の情報を拡散する口コミ
  • ハラスメント・侮辱的な内容
    →「ここのスタッフは無能」「接客が気持ち悪い」など、感情的・攻撃的な表現で店舗の評価を傷つける投稿

このような口コミは、ポリシー違反であると同時に、実際に集客や売上に悪影響を与える営業妨害となるリスクもあるため、放置せず、早めに対処することが重要です。

Googleビジネスプロフィールヘルプ

営業妨害に該当する可能性がある口コミは削除できる?

たとえ悪質な投稿で営業妨害にあたるように感じたとしても、Googleマップの口コミは投稿者本人以外が直接削除することはできません。
削除を希望する場合は、Googleに対して「不適切なコンテンツ」として削除依頼を申請する必要があります。

明らかに虚偽の情報や、誹謗中傷・人格攻撃などが含まれている場合は、Googleのポリシーに触れる可能性が高く、削除が認められるケースもあります。ただし、口コミの削除が認められるかどうかは、Google側が判断するため、すべての口コミが削除されるわけではありません。

Googleの口コミに関するポリシー

Googleでは、特定のガイドラインを設けており、以下の口コミはポリシーに違反するとみなされ、削除できる可能性があります。

  • 商品やサービスの説明や品質に関する誤解を招くまたは虚偽の記述
  • なりすまし
  • 競合他社のお店や場所について、その企業や商品の評判を傷つける内容を投稿する行為
  • Googleのサービスを使用して他の個人やグループを攻撃する行為
  • 明らかに意図的に挑発するような内容
  • 非倫理的な行動や犯罪行為に関する根拠のない主張

禁止および制限されているコンテンツ

削除できない可能性が高いGoogleの口コミ

Googleマップに投稿された口コミの中には、その投稿が不快に感じられても、Googleのポリシーに違反していないと判断され、削除されないケースもあります。
特に以下のような口コミは、主観的な感想や個人の体験談として判断されやすく、削除が難しい傾向にあります。

  1. 主観的な感想や印象に基づく評価
    「思っていたより接客が冷たく感じた」
    → 感じ方には個人差があるため、明確な誹謗中傷や虚偽とまでは言えず、削除は難しい可能性があります。
  2. 商品やサービスへの率直な評価
    「味が自分には合わなかった」「料金が高く感じた」
    → 利用者が実際に体験したうえでの意見とみなされるため、ポリシー違反にはあたりません。
  3. 内容が曖昧で事実確認が難しい評価
    「なんとなく居心地が悪かった」
    → 具体的な根拠がないため、虚偽や攻撃的表現とまでは言い切れず、削除が難しい可能性があります。

このような口コミは、たとえ企業側が「営業妨害に近い」と感じたとしても、Googleが「表現の自由の範囲内」と判断する場合が多く、削除に至らないことがほとんどです。

Googleマップの口コミを削除する方法

Googleマップに投稿された口コミの中には、企業の評価や信用を損ない、営業妨害につながる可能性のあるものも存在します。
そのような口コミに対しては、Googleのポリシーに基づき「不適切なコンテンツ」として削除申請を行うことで、口コミが削除される場合もあります。

削除依頼は、「Google検索」や「Googleビジネスプロフィールの管理画面」「Googleマップ」など、いくつかの方法で行えます。
ここでは、それぞれの方法についてわかりやすく解説します。

ただし、前述のとおり、申請を行っても必ずしも口コミが削除されるとは限りません。の審査によって、口コミがポリシーに反していないと判断されれば、そのまま掲載が継続されることもあります。

Google検索から削除依頼する方法

Google検索結果に表示された口コミを見つけた場合は、検索画面から直接、不適切な口コミをGoogleに申し立てることが可能です。
Googleビジネスプロフィールにログインしていない状態でも対応できるため、オーナーでないスタッフや利用者が代わりに申請する場合にも活用しやすい方法です。

  1. Googleで企業名を検索
    まず、Google検索で自分の店舗名や企業名を検索し、ビジネスプロフィール(右側のナレッジパネル)を表示させて、「Googleのクチコミ」をクリック
  2. 削除したい口コミを選択
    口コミの右上にある「︙」または「旗のマーク」をクリックし、「レビューを報告」を選択します。
  3. 報告の理由を選ぶ
    ボタンを押すと、以下のように一覧が表示されます。
    口コミの内容に応じて、最も該当するものを選びましょう。
    ※さらに詳しく法的対応が必要な場合は、画面下の「法的な問題を報告する」に進むことも可能です。
  4. Googleの審査を待つ
    申請が完了すると、Google側で審査し、ポリシーに抵触していると判断されれば、口コミは削除されます。

審査結果はメールなどで通知されることはなく、口コミが非表示になることで判断する形になります。

Googleビジネスプロフィールから削除依頼する方法

Googleビジネスプロフィールを管理している場合は、管理画面から直接、口コミの削除依頼を送信することが可能です。
ここでは、Googleビジネスプロフィールを活用して、不適切な口コミを削除申請する方法を解説します。

  1. Googleビジネスプロフィールにログインして「クチコミを読む」をクリック
    Googleビジネスプロフィールのログインはこちら
  2. 削除したい口コミを見つけて上にある「︙(メニュー)」をクリック
    表示された口コミ一覧の中から、削除したい口コミの右上にある「(!)」のアイコンをクリック。
  3. 報告の理由を選んで送信
    表示された選択肢の中から、該当するものを選んでください。
    該当する理由にチェックを入れたら、画面右下の「報告を送信」ボタンをクリックすると申請が完了します。

Googleマップから削除依頼する方法

GoogleマップのアプリやPC版からでも、口コミに対して直接削除申請を行うことができます。
Googleビジネスプロフィールにログインしていない状態でも報告可能なため、利用者本人や店舗関係者以外が不適切な投稿を見つけた場合にも使いやすい方法です。

  1. Googleマップを開き、対象の店舗を検索
    スマホアプリまたはブラウザ版のGoogleマップを開き、該当する店舗や施設名などを検索して選択します。
    ※今回は、PC版のGoogleマップを使用した方法について解説しています。
  2. Googleマップを開き、対象の店舗や施設名を検索
    検索したら「クチコミ」タブ(以下画像箇所)をタップまたはクリックして、表示された口コミ一覧から問題のある投稿を探します。
  3. 該当する口コミの右側にある「︙」を選択
    報告したい口コミの横にあるメニューアイコン(縦の3点)を押すと、「クチコミを報告」という選択肢が表示されるのでクリックします。
  4. 報告の理由を選ぶ
    ボタンを押すと、以下のように一覧が表示されます。
    口コミの内容に応じて、最も該当するものを選びましょう。
    ※さらに詳しく法的対応が必要な場合は、画面下の「法的な問題を報告する」から進むことも可能です。

なお、Google検索・Googleビジネスプロフィール・Googleマップの3つはいずれも、多少画面や操作手順は異なりますが、基本的な流れはほとんど同じです。
ご自身が操作しやすい方法を選んで、対応してみてください。

Googleの口コミで営業妨害を受けた際の対応方法

Googleマップの口コミで、虚偽の情報や悪意ある投稿によって店舗や企業の評価が不当に傷つけられた場合、そのまま放置すると、営業への悪影響が長期的に続く場合があります。

この章では、Googleの口コミで営業妨害を受けた場合にとるべき対応方法について解説します。

Googleに削除依頼を出す

上記でも説明したように、Googleマップの口コミが虚偽や誹謗中傷を含み、営業妨害につながるおそれがある場合は、Googleに対して削除依頼を行うことができます。

Googleのコンテンツポリシーに違反していると判断されれば、口コミが削除される可能性もあります。

一方で、対応せずに放置してしまうと、信頼性の低下や新規顧客の離脱といった実害が広がるおそれもあります。

削除申請の手続き自体は、5分ほどの操作で完了する簡単なものです。大きな損失につながる前に、早めに対応しておくことを推奨します。

誠実な返信で店舗の信頼を守る

削除申請を行ったとしても、すべての口コミが削除されるとは限りません。
Googleが投稿をポリシーに反していないと判断した場合は、たとえ店舗側にとって不本意なものであっても、口コミはそのまま掲載され続けます。

このような口コミに対しては、丁寧な返信を行うことで、店舗の信頼を守ることが大切です。

ネガティブな内容であっても、改善に取り組む姿勢を伝えることで、「信頼できる店舗」という印象を築くことができます。

どのような返信をすればよいかわからないという方は、下記の記事がおすすめです。
ネガティブな口コミへの対応例や、印象を悪化させないための返信ポイントを分かりやすく解説しています。

Googleマップの口コミ返信を例文付きで徹底解説!

弁護士や専門業者に相談する

Googleマップの口コミの内容が明らかに悪質で、虚偽の事実による風評被害や営業妨害に発展している場合は、弁護士などの法律の専門家に相談することも有効な対応策のひとつです。
特に、名誉毀損や業務妨害などの法的に問題のある内容であれば、発信者情報の開示請求や損害賠償請求といった法的措置を検討することも可能です。

また、自社で対応するのが難しい場合は、Google口コミの削除申請や風評対策を得意とする専門業者に相談するのも一つの手です。

専門知識と経験を持った業者であれば、削除に向けて早急に対応してくれるケースも多く、被害の拡大を防ぐことができます。

口コミによる被害が拡大する前に、自力での対応に限界を感じたら、早めに第三者の力を借りることを検討しましょう。

まとめ

Googleマップの口コミは、ユーザーにとって重要な参考情報である一方、店舗や企業にとっては営業活動を左右する要素の一つです。 中でも、虚偽の情報や誹謗中傷、悪意のある書き込みが放置されたままだと、信用を失い、実際の売上や来店数にまで影響を及ぼす「営業妨害」となる可能性もあります。

本記事で解説したように、

  • 法律に違反する可能性がある口コミ(名誉毀損・侮辱・業務妨害など)
  • Googleのポリシーに違反する口コミ

については、Googleへの削除申請によって対処できる場合があります。

削除依頼は「Google検索」「Googleビジネスプロフィール」「Googleマップ」の3つの方法から行うことができ、いずれも5分程度で完了する手続きです。

ただし、すべての口コミが削除されるわけではありません。削除が難しい場合でも、誠実な返信を通じて店舗の信頼を守る対応が重要です。

さらに、被害が深刻な場合や自社だけでの対応が難しい場合は、弁護士や専門業者に相談し、法的措置や風評対策を検討することも視野に入れましょう。

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